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肺がんの治療法の1つ薬物療法は、薬剤を点滴または内服を用いて、がんの増殖を抑えたり成長を遅らせたりする治療です。
肺がんの患者さんの治療として手術や放射線治療が局所の治療であるのに対して、薬物療法は薬剤を全身に行き渡らせて全身に存在するがん細胞を攻撃する全身治療であるという点が異なります。
肺がんは転移しやすいがんなので、薬物療法は肺以外の臓器に転移している場合にも効果を期待でき、放射線治療と組み合わせることもあります。
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肺がんはがん細胞の特徴によって、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2つに大きく分けられます。
発生頻度が高いのは、非小細胞肺がんで、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんに分類されます。もっとも多いのは、腺がんです。
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肺がんの進行度は、ステージ別にステージ1(I期)・ステージ2(II期)・ステージ3(III期)・ステージ4(IV期)の4段階に区分されています。
ステージが進むにつれて、より進行したがんであることを示しています。
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【進行している非小細胞肺がんの治療】
非小細胞肺がんで、進行しているステージ3や遠隔転移のあるステージ4の肺がん患者さん場合は、薬物療法や放射線療法で治療をしていきます。
薬物療法で用いる抗がん薬の選択にあたっては、がんの組織型、ステージ、全身の状態に、遺伝子変異のタイプ、免疫チェックポイント阻害薬が効きやすいかどうかも加味して治療戦略を立てていきます。 最近では、化学療法(薬物療法)と放射線治療を併用する化学放射線療法後に、後述する免疫チェックポイント阻害薬を1年間使用する事で、がんの再発を抑制させることが知られています。
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【小細胞肺がんの治療】
小細胞肺がんは肺がん全体の10~15%を占め進行の早いがんですが、一方で抗がん剤による化学療法(薬物療法)や放射線治療に対する反応性が良好です。
非小細胞がんと異なり、早期限局型(ステージI~IIA)を除き外科療法が適応となることはありません。
限局型の場合
早期がんで手術で切除できる場合は、手術の後に再発や転移を防ぐために化学療法(細胞障害性抗がん薬)を使用します。
手術が難しい場合は、体の状態を考慮しながら適切な方法を選び、状態が良い場合には、化学療法(薬物療法)に放射線治療を併用した化学放射線療法を行います。そうでない場合には、化学療法(薬物療法)が治療の中心となります。
進展型の場合
進展型は主に化学療法(細胞障害性抗がん薬)で治療します。免疫チェックポイント阻害薬と併用することもあります。使用する薬は健康状態や年齢によって異なります。
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肺がんの薬物療法で使用する薬には、「細胞障害性抗がん薬」「分子標的薬」「免疫チェックポイント阻害薬」の3種類があります。
細胞障害性抗がん薬は、がん細胞の増殖を邪魔することでがん細胞を攻撃する薬です。
分子標的薬は、がん遺伝子検査をもとに適切な薬を選びがんを攻撃する薬です。
免疫チェックポイント阻害薬は、免疫でがん細胞を攻撃する力を保つ薬です。
患者さんごとの肺がんの組織の違い、遺伝子変異、ステージ分類などのがんの特徴と体の状態などを総合的に判断して薬を選びます。
さらに、肺がんの薬物療法は毎年のように、新しい薬や色々な薬の組み合わせが登場しています。
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細胞傷害性抗がん剤は、細胞分裂が活発ながん細胞に作用する薬剤です。
以前から使用されている「細胞障害性抗がん剤」は、細胞分裂が活発ながん細胞に作用する薬剤ですが、がん以外の正常に増殖している細胞も影響を受け副作用が起こります。
多くの抗がん剤は注射薬ですが、飲み薬もあります。1種類の抗がん剤で治療を行う場合もありますが、2種類以上の抗がん剤を組み合わせて治療を行うこともあります。
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薬物療法は、がん細胞だけでなく正常細胞にも作用するため、副作用が現れることがあります。使用する薬剤の種類によって副作用は異なり、その程度も個人差があります。
吐き気や便秘・下痢、肝障害、腎障害、脱毛、口内炎のほか、白血球の減少や貧血になる骨髄抑制や、薬剤性肺障害などは、命にかかわることもあるため特に注意が必要です。
体に異常を感じたら、早めに医師、看護師、薬剤師に伝えてください。
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一部の遺伝子変異のある肺がんでは、がん細胞の増殖や転移に関わる分子を攻撃する「分子標的治療薬」が有効です。
「分子標的治療薬」は、がんの発生や増殖、転移に関わるがん細胞の分子を標的とする薬剤です。
非小細胞肺がんで遺伝子検査の結果から、遺伝子変異や融合遺伝子があることが確認された場合に使用します。
分子標的薬は、がん以外の正常に増殖している細胞への影響を抑えられるのが特徴です。
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非小細胞肺がんで遺伝子検査で肺がんの原因となる遺伝子の異常として、EGFR遺伝子変異、KRAS遺伝子変異、ALK融合遺伝子、 ROS1融合遺伝子、BRAF遺伝子変異、MET遺伝子変異、NTRK融合遺伝子などがあることが確認された場合には、その阻害剤である「分子標的薬」を使用します。
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「細胞傷害性抗がん剤」は、がん以外の正常細胞も影響を受け副作用が起こりますが、がん細胞の分子を攻撃する「分子標的薬」は、がん以外の正常細胞への影響を抑えられるのが特徴です。しかし、「分子標的治療薬」はどの患者さんにも効くわけではなく、患者さんのがんの遺伝子変異によって効果が異なります。
がんの原因となっている遺伝子の異常を調べたうえで、患者さん一人ひとりに合った治療を行うことを個別化治療といいます。
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「免疫チェックポイント阻害薬」は、免疫の力を利用してがんを攻撃する新しい治療法です。
「免疫チェックポイント阻害薬」が有効な患者さんには長期の有効性が得られる一方で、有効な患者さんが約20%程度と高くないため、まず、「免疫チェックポイント阻害薬」の効きやすさを検査します。また、「細胞障害性抗がん剤」と「免疫チェックポイント阻害薬」を同時に使うこともあります。
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がん細胞には、T細胞などの免疫細胞による攻撃にブレーキをかける仕組みがあります。
新しい薬として登場した「免疫チェックポイント阻害薬」は、がん細胞が免疫細胞による攻撃を逃れるしくみ(ブレーキ)を解除する薬です。
がん細胞が免疫細胞にかけているブレーキを解除することで、がん細胞に対する免疫細胞の攻撃を回復させる治療法です。
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肺がんの薬物療法は、肺がんの組織型、遺伝子変異、ステージ、全身状態などを総合的に判断して、色々ある選択肢から適切な方法を選ぶことができる時代となりました。
全身療法なので、身体の状態や年齢に加えて,心臓,肺,肝臓,腎など全身の臓器機能が治療に耐えられるかどうかはとても重要です。
誰もが一律の治療をするのではなく、がんの原因となっている遺伝子の異常を調べたうえで、患者さん一人一人に合った個別化治療も行われています。
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咳や痰、息苦しさなどの症状がある場合には、医療機関を受診し、検査を行い、薬物療法が適応の肺がんだった時は、主治医と相談をしながら、よりご自身に適した治療法を検討していきましょう。
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