肺がんについて
日本人の2人に1人が「がん」になると言われていますが、2019年に新たにががんと診断された方は年間約99万9千人(男性56万6460人、女性43万2607人)いました。
年齢があがるほど肺がんになる率も高くなり、60歳以降になると急激に増加します。
肺がんの罹患数(新たに診断された人数)は年々増加しており、2019年には約12万6千人(男性 8万4325人、女性 約4万2221人)が肺がんと診断されています。男性の方が女性の約2倍多かったです。
日本人の死亡の原因で最も多いのは「がん」ですが、2020年には、年間約37万人の方が「がん」で亡くなられました。
この「がん」の死亡者数で最も多かったのが、肺がんでした。
がんの部位別死亡数(2020年)は、男女合計で7万5585人も亡くなられていました。
肺がんはみつけにくいうえ、進行が早く、転移もしやすいためだと考えられています。
最新の2021年のデータでは、肺がんになった人の数は男性22万2467人、女性15万9038人で男女合わせると38万人を超えています。
部位別死亡数を最新の2021年のデータで見ると、男性で5万3247人で1位、女性では2万2338人で2位、男女合計では7万5585人も亡くなっていました。
肺がんは、左右の胸の中にある肺や気管支から発生する悪性の腫瘍です。
「この症状があれば必ず肺がん」という症状はありません。
むしろ、早期肺がんでは、症状がないことがほとんどです。
進行がんになると、痰に血が混じったり、息苦しさや、胸が痛くなったり、風邪をひいているわけでもないのに、長期間咳や痰が続いたりします。
健康診断や肺がん検診などでは肺がんの検査として、まず初めに胸部X線検査、喀痰細胞診などを行います。
これによって肺がんが疑われた場合には、確定診断のための検査として、胸部CT検査、気管支鏡検査、経皮生検、胸腔鏡検査、縦隔鏡検査などを行います。
肺がんの確定診断が得られた場合には、病期診断のための検査として、胸部CT、頭部MRI・CT、腹部CT・エコー、骨シンチグラフィー、PET-CTなどを行います。
気管支鏡検査は、4~5mmの細くて柔らかい内視鏡を口から気管支に挿入して、肺がんの疑いがある気管支の中を観察する内視鏡検査です。
このように肺の中にある気管支は細かく枝分かれしているので、気管支鏡検査では、胃や大腸の内視鏡検査と違い、細い気管支の先にある肺の奥の方にあるがんを直接を見ることができません。
そこで、気管支鏡で直接見えない肺の奥のほうにある肺がんの検査の時には、レントゲンの透視を見ながら気管支鏡の検査をしています。
しかし、細かく枝分かれした気管支の先にある「肺がん」の検査する時には、肺がんまでたどり着くことが難しいこともあります。
そのような時には、CTの画像を3D構築して肺がんの部位まで鉗子を誘導してくれる仮想気管支鏡システムを用いています。
これが、CTから作り出した仮想気管支鏡の画面です。
細かく枝分かれした気管支の先に肺がんがある時に、カーナビのように肺がんまでのルートを誘導してくれるナビゲーションシステムです。
仮想気管支鏡を用いることで、小さな肺がんの時でも気管支のルートを誘導して、肺がんの診断がつけられます。
肺がんのステージ(病期)は、TNM、つまりTとNとMの3つの要素で決定されています。
TNM分類のTとは、腫瘍(Tumor)のことで、腫瘍そのものの状態をT0~T4の段階で表します。
Nは、節(Node)のことで、リンパ節への腫瘍の広がりをN0~N3の段階で表します。
Mは、転移(Metastasis)のことで、がんがもともと発生した臓器を出て、ほかの臓器に転移しているかどうかをM0~M1cの段階で表します。
肺がんの診断がつくと、肺がんの治療方針は組織型とステージに基づき決定されます。
ステージは、1から4に進むほど進行癌となります。
肺がんの治療には、手術、放射線治療、薬物療法、レーザー治療などがあります。
肺がんの治療法は、患者さんの体の状態や年齢、ご本人の希望なども聞きながら、肺がんのステージごとに担当医と共に決めていきます。
「手術」・「放射線治療」・「薬物療法」に大別されます。
非小細胞肺がんのステージは進行度により,ステージ1から4まで分かれますが、通常、手術の適応となるのは、ステージ1から3の一部までです。
手術は肺癌に対する有効な治療法の1つですが、手術の一番のメリットは根治を望める治療法であるという点です。
非小細胞肺がんで、進行しているステージ3や遠隔転移のあるステージ4の肺がん患者さん場合は、薬物療法や放射線療法で治療をしていきます。
新規薬剤の開発にともない、「薬物療法」には細胞障害性抗がん剤のほか、分子標的治療薬や免疫療法などが含まれるようになっています。
薬物療法で用いる抗がん薬の選択にあたっては、がんの組織型、ステージ、全身の状態に、遺伝子変異のタイプ、免疫チェックポイント阻害薬が効きやすいかどうかも加味して治療戦略を立てていきます。
肺がんの5年生存率は、1993~1996年に診断された患者さんでは22.5%であったのに対し、2009~2011年に診断された患者さんは34.9%にまで上昇しており、肺がん患者さんの生存率の向上が見られています。
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