肺がんCT検診
がんの死亡率(年齢調整死亡率)は男女とも大きく上昇しており、昭和30年と比較すると平成13年では男性は5.8倍、女性は4.4倍【表1、2】となっています。肺がんは増えているものの胃がんや大腸がんと比較して総患者数は、それ程多くなく9万人程度であるのに対して、肺がんによる死亡数は多く、平成13年には男性では3万9904人、女性では1万5130人【表2】と、悪性新生物(がん)死亡全体に占める割合は男性22.0%(第1位)、女性12.7%(第3位)【表3】となっています。
これは『肺がん』がいかに治りづらい病気であるかを示しています。この強敵に対し新規抗癌剤等の開発など治療成績向上のための努力が日々続けられていますが、今だ、特効薬のない状態です。またリンパ節の転移のない肺がんの手術成績は比較的良好でありますが、リンパ節転移の有る肺がんでは十分な手術効果が得られていません。
このような現状の中で、肺がんで命を失わないためには1)肺がんにならないようにすること。2)肺がんを早期発見すること。が重要であると考えています。以上の点から、当院呼吸器外科では、まず1)に対して、唯一かつ最大の肺がん予防と考えられている禁煙指導を目的とした、禁煙外来を平成15年11月より開始いたしました。そして2)に対して、平成16年4月1日よりCT肺検診を開始致しました。CTでは、一般の住民検診や会社検診で行われている胸部レントゲン写真では発見できない肺がん、特に肺の末梢にできた腫瘍径の小さい小型肺がんの発見が可能です。(胸部CTによる肺がんの発見率は胸部レントゲン写真のそれの数十倍と言われており、今のところ肺がん発見に最も有用な検査と考えられています。)年1回のCT肺検診をお勧めします。
【表1】 部位別にみた悪性新生物の年齢調整死亡率(人口10万対)の推移


注 1)大腸は、結腸と直腸S状結腸移行部及び直腸とを示す。ただし、昭和40年までは直腸肛門部を含む。 注 2)結腸は、大腸の再掲である。 注 3)肝は肝と肝内胆管である。 注 4)年齢調整死亡率の基準人口は「昭和60年モデル人口」である。 |
【表2】 性・部位別にみた悪性新生物死亡数の推移
昭和45年(’70) | 55(’80) | 平成2(’90) | 7(’95) | 12(’00) | 13(’01) | |
男性 | ||||||
悪性新生物 | 67,074 | 93,501 | 130,395 | 159,623 | 179,140 | 181,393 |
肺 1) | 7,502 | 15,438 | 26,872 | 33,389 | 39,053 | 39,904 |
胃 | 29,653 | 30,845 | 29,909 | 32,015 | 32,798 | 32,267 |
大 腸 2) | 4,303 | 7,724 | 13,286 | 17,312 | 19,868 | 20,265 |
肝 3) | 5,868 | 9,741 | 17,786 | 22,773 | 23,602 | 23,596 |
胆のう 4) | 1,340 | 2,791 | 5,069 | 6,189 | 6,913 | 7,092 |
その他 | 18,408 | 26,962 | 37,473 | 47,945 | 56,906 | 58,269 |
女性 | ||||||
悪性新生物 | 52,903 | 68,263 | 87,018 | 103,399 | 116,344 | 119,265 |
肺 1) | 2,987 | 5,856 | 9,614 | 12,356 | 14,671 | 15,130 |
胃 | 19,170 | 19,598 | 17,562 | 18,061 | 17,852 | 17,691 |
大 腸 2) | 4,196 | 7,015 | 11,346 | 13,962 | 16,080 | 16,682 |
肝 3) | 3,574 | 4,227 | 6,447 | 8,934 | 10,379 | 10,715 |
胆のう 4) | 1,764 | 3,808 | 6,802 | 7,557 | 8,240 | 8,473 |
乳 房 | 2,486 | 4,141 | 5,848 | 7,763 | 9,171 | 9,654 |
子 宮 | 6,373 | 5,465 | 4,600 | 4,865 | 5,202 | 5,200 |
その他 | 12,353 | 18,153 | 24,799 | 29,901 | 34,749 | 35,720 |
注 1)気管、気管支と肺を示す。 注 2)結腸と直腸S状結腸移行部及び直腸とを示す。 注 3)肝と肝内胆管を示す。 注 4)胆のうとその他の胆道を示す。 |
【表3】 総患者数(単位 千人)平成11年(’99)10月
総 数 | 男 | 女 | |
悪性新生物 | 1,270 | 649 | 621 |
気管、気管支及び肺の悪性新生物 | 90 | 60 | 30 |
胃の悪性新生物 | 260 | 169 | 92 |
大腸の悪性新生物 | 228 | 127 | 101 |
肝及び肝内胆管の悪性新生物 | 61 | 42 | 19 |
乳房の悪性新生物 | 169 | 2 | 167 |
注 )総患者数は表章単位ごとの平均診療間隔を用いて算出するため、男と女の合計が総数に合わない場合がある。 |

胸部レントゲン写真では明らかな異常陰影は認めなかった。

左下葉(S9)に直径20mm大の腫瘤性陰影を認めた。

CTガイド下経皮針細胞診にて腺がんと診断された。
検診の流れ
1.予約なしで検査できます。但し、検査の都合によりお待ち頂くことがありますのでご了承ください。
2.申込先はA棟1階検診受付です。
3.検診時間
平 日 : | 9:00~11:00 14:00~16:00 |
土曜日 : | 9:00~11:00 |
4. 受付・支払を済ませてからレントゲン室でCT撮影を行います。
5. 検査時間は5分程度です。
6. 検査から約2週間後、2人の医師が診断した結果を郵送させていただきます。
7. 要精密検査の方は、当院呼吸器外科外来におこしください。
検診費用
8,800円(税込)
検診のお問い合せ
電話 048-474-7211 医事課 検診係(内線137)